令和元年7月10日


もしも自分が認知症になったらどうなる?


 もしも自分が認知症になったら、どんな法律的な問題があるのでしょうか?

※成年後見制については、とくに触れていません。

 

 

1.人が認知症になった時に起こりうる問題点

 

 ①契約や銀行の引出が行えなくなる!?

 

 認知症になった時のトラブルの1つに、老人ホーム等の契約が出来なくなってしまったり、銀行の引出ができなくなることがあります。

 

 これは、意思能力(物事を理解する能力)がない方が行う契約等は無効という法律の原則からきています。逆にいうと意思能力があれば、たとえ病院で認知症と診断されても契約等は問題ないということになります。

 

 認知症が重く、物事が理解できない状態(幼児のような認識力)であれば契約等が出来なくなるのは正しく、そうでなければ、認知症と診断されていても問題はない、ということです。

 

 なお、一般によく誤解されるのが、要介護5だから重度の認知症であるということではありません。要介護認定の制度は、介護サービスの必要性に基づいて決められる制度だからです。とはいえ、要介護5の方は歩くことが不可能なことが一般的ですので銀行での引出は現実的には難しくなります。

 

 ②家族に迷惑をかけることがある?

 

 これは、近年裁判があったのでご存じの方も多いかと思いますが、重度の認知症の方が外出していて、線路に立ち入ってしまい、電車を止める等の被害を出してしまった場合、誰が責任をとるのか、という問題です。

 

 他にも、今後は、認知症の方が車で事故を起こしてしまった場合も出てくるかもしれません。

 

 これらは、個別ケースの判断とはなりますが、民法714条の監督義務者の責任(認知症の方を監督する義務があると考える親族は、監督を怠った場合にその認知症の方が引き起こした損害を代わりに賠償しなければならない)に該当するかどうかとなります。上記の事例におきましては、親族の方の責任こそ問われませんでしたが、裁判等で大変な思いをされたと思います。

 

2.認知症になっても契約・銀行の引出等で困らないようにするには

 

 

 

3.家族に迷惑をかけないためには